--------------------------------

 X68000と安物シンセサイザ

  安物コレクター:木場 健郎

--------------------------------

 休刊ということで、環境紹介をされる方もいるかな、と思うのですが、

ちょっと変わった環境紹介ということで、自分が集めた安物シンセ(一

部MIDI非対応あり)とその周辺機器を紹介します。MP3などのオーディ

オデータでの配布も珍しくなくなった今、音源に人の使っているものを

あえて避けて個性を出す、沢山の音源を組み合わせて最強の組み合わせ

を作る、というのはいかがでしょう?


◎画像1

◎画像2

◎画像3


以下、メーカーごとに

●所有機材(かっこ内は、買った時の値段、新品か中古か) 

 説明・・・

という風に紹介します。



▲KORG(コルグ)▼

「コルグ」という名前から日本っぽくない名前ですが、国内のメーカー

です。シンセメーカーとしては古く、アナログシンセの頃から作ってい

ます。ローランド、ヤマハと並んで日本の3大シンセメーカーとして国

内はもちろん、海外にも知られています。アナログシンセの頃は安価な

手頃なシンセを多数送り出し、1988年1台で全ての音楽製作を行う

オールインワンシンセの元祖「M1」が大ヒット(確かFM音源の大ヒット

作「DX7」の販売台数を抜いて世界記録になったはず)してからはリア

ルなPCM音源のメーカーとして地位を築いています。

 最近ではアナログモデリング音源を使用した機器も多数製作されてい

ます。

 主な製品・・・MS10、MS20、POLISIX、M1、01/W、TRINITY


●05R/W(49800、新)GM音源

 メインとして使っている音源。GM対応なのだが、GM音色は薄っぺらい

音が多い。その中でもコントラバス(ウッドベース)のピチカート(音

色番号G33)は良い。実際弾いている人が言うんだから嘘ではない(は

ず)。 

 この音源の良いところは、M1や01/Wといったコルグの名機の音色(A

バンク)やコンビネーションモードがあること。演奏用のセカンド音源

としても使えるし、1パートでもそこそこ聴ける音がする。Aバンクの

お勧めはストリングス(A07)。良いです。 


●Synphony(3000、古)音源

 楽器屋のバーゲンで購入。たった7音色(+拡張カードの音色)しか

ない。スタジオでバンド練習するときにキーボードがDX7しかなかっ

たため(あとは他のキーボードを200円/hで借りる)、05R/Wを持っ

ていっていたのだが、機械音痴の人には音色を変えるなどの操作が難し

かったので、全ての音色がボタンで切り替えられる(ボタンが7つある、

全ての音色が1ボタン1音色で割り当てられるとは珍しい)この音源を

代わりに使おうと考えていたが、頻繁に使うピアノの音色が入っていな

い。カードで拡張するのだが、今さら専用の物が売ってないのに加えて、

同時期に出た名機M1のカードも使えない。困ったもんだ。その辺の話

は次のP3に続く。

 音自体は、1988年の音源というだけあり、今よりも荒っぽい音がする。

ストリングスも低音はまあまあだが、サンプリングレートが低いせいか

高音がやや変。コーラス(声)の音はなぜかオーケストラっぽい音が再

現されているような気がする。それにしてもオーケストラ音源なのにな

ぜドラムとかポップスっぽいブラスの音が入っているんだろう。


●P3(2800、古)ピアノ専用音源

 楽器屋で安く売っていたのをインターネットで発見。Synphonyと共通

の専用カードも2枚入っていたので購入。そのうち一枚がピアノカード

だったので、ついにSynphonyにもピアノが使えるようになった。 

 音は空間系のエフェクトがかかっていないのでもろに素の音。スタジ

オ用途ならそれでも良いのかな。音に迫力がないような気もするけど結

構特徴はとらえているような気がする(ピアノの音って生では年がら年

中聞いているわけでないのであまりよく分からない)。


●KMP68(3200、古)MIDIパッチベイ

 MIDI機器の数が増えてきたなら煩雑な配線をすっきりさせるために必

須のMIDIパッチベイ。安いものを探していたんですが、中古楽器屋に入

荷したのを見つけて即購入。なんといっても型番の「68」が良いです

ね。



▲ALESIS(アレシス)▼

 日本ではモリダイラ楽器が輸入代理を行っている海外メーカー。デジ

タルレコーダー「ADAT」をはじめ、エフェクターやシンセなど、質の高

い製品をそこそこの値段でだして、好評を得ています。

 主な製品・・・ADAT、D4


●SR-16(29800、新)ドラムマシン 

 05R/Wのセカンド音源として購入。これがかなりいい音するんですよ。

一時期プロがかなり使っていたD4というドラム音源と同じ音が(音色数

が少ないけど)鳴るだけのことはある。サンプル自体にリバーブがかかっ

ている音もあるだけど、ただかかっているというんじゃなくて、ちゃん

とリズムパターン(曲調)を初めから意識した音(ドラムセット)になっ

ているところも良い。ベースを弾くときはドラムマシンとして使ってま

す。 



▲AKAI(アカイ)▼

 もともとカセットレコーダーなんかを作っていたようなんですが、1

980年代に安くて高機能なサンプラーを連発、一躍サンプラーのアカ

イとして世界的に有名になりました。

 主な製品・・・S01、S1000シリーズ、S3000シリーズ


●SG01v(9800、新)音源

 ヴィンテージシンセ専用音源。安売りしていたのと、DTMマガジン

のCDできいたら良さそうなので購入。買ってみたら、これがとても良

い音がするのだ。CDで聞くのと全然違う。サンプラーのアカイだけあっ

てサンプルの処理、D/A部分が良いんだろうなぁ(メーカーではサンプ

ラーと同じD/A部分を使っていると言っている)。元が39800円とコンシュ

ーマー向けなので、プロ的な音にはきついかもしれないが、DTM用途

には十分使える。 

 ちなみに、マルチパートで鳴らすとすぐに重くなる。なのであんまり

たくさんのパートが使えない。ちょっと残念。まぁ、そもそもメイン用

音源でないそれでもいいんだけど。 



▲Roland(ローランド)▼

 DTM関連のメーカーとしてあまりにも有名なローランド。昔からシ

ンセを作っていて、アナログシンセ時代も数々のヒット作を送り出しま

した。1990年代にはいってのアナログシンセブームにローランドの

名機は大活躍しました。

 主な製品・・・JUPITER-8、JUNO106、TR808、TR909、TB303、
        MT32、JV880、JD800、SC55、SC88、JV1080


●CM300(13000くらい、古)GM(GS)音源

 コンピュータを持っていると誰もが持っている標準というのを持って

いるほうが便利だったりする。というわけで一台はGS規格の音源は持っ

ておこうと思って購入。やはり持っていると困らないですね、こういう

のは。データ再生用に、ネット用のデータ製作によく使ってます。 


●MT32(旧型:6800、古/新型:1000、古)音源  

 昔のデータでMT32用のものというのもあるのであってもいいかなぁ、

と思いまず旧型を購入。さらにインターネットでなんと1000円で売っ

ていたので、また購入。買ってみたら新型ということが発覚。旧型と新

型の違いはデモ曲が入っているかいないかくらいですが。うーん、一昔

前の音源というのもあるのかいまいち使いでのある音がない。今の音源

で同じような音がでるしねぇ。 


●MV30(9800、古)シーケンサー+音源 

 MCシリーズのシーケンサーにRS-PCMの音源部を搭載。さらにミキサー

機能もついていて、一台で作曲が出来るようになっているマシン。なか

なか良くできている。RS-PCMは拡張カードの音色がかなりいい音がある。

このストリングスカードの音色はお勧め。このカードは同じローランド

のUシリーズやCM64等にも使えるので持っている人はストリングスカ

ードを使ってみましょう。おすすめ。



▲KAWAI(カワイ)▼

 シンセメーカーとしてはあまり派手なほうではないのですが、昔から

安価なシンセを出しているメーカーです。ユニークな音源方式のシンセ

を出しているところでもあります。

 1980年代にはKシリーズ、最近ではGM音源や独自の方式を採用

したK5000などを製作しています。

 主な製品・・・K1、K5000


●REVMIX(忘れた、新)オーディオミキサー 

 リバーブ内蔵の4chステレオミキサー。これがないと複数の音源の

音を同時に聴けないので何もできない。REVMIXをはじめ、カワイはDT

M周辺機器はなかなかアイデア物が揃っている。 


●GMegaLX(2980、古)GM音源 

 安さにつられて購入。シリアルインターフェイスとして使えるかな、

と思っている。音はオーケストラで使うとなかなかバランスが良い。 

MIDIボードが手に入らない人はこの位の値段のシリアルインターフェイ

ス付きのGM音源を買ってみるのも良いと思います。



▲YAMAHA(ヤマハ)▼

 楽器メーカーとして日本最大手のヤマハ。シンセも古くから生産して

いて、1970年代から多数アナログシンセを作っています。しかしヤ

マハと言えばデジタルシンセ。FM音源という独自の方式で1983年

に6オペレータFM音源キーボード「DX7」を大ヒットさせ、シンセが商売

になることを(良くも悪くも)証明させました。1980年代後半には

SYシリーズというオールインワンキーボードを製作し、90年代に入っ

てからGM音源の製造も行うのですが、当初はあまりぱっとしませんで

した。ヤマハがDTMメーカーとして頭角を現すのはXG規格の発表と

その対応音源MU80の発売以降のことです。

 フィジカルモデリングの音源を世界で初めて発表(VL-1)したメーカ

ーでもあります。

 このメーカーの特長として日本人らしい、繊細で線の細い音色があげ

られます(これはシンセに限らず、管楽器などにも当てはまります)。

 主な製品・・・DX7、SY99、VL1、MU80


●QX21(1000、古)MIDIシーケンサー 

 スタジオ等、外で使うのにいいかな、と思って購入。でも外部保存が

データレコーダー(カセット)だけなのでちと不便。 X68000にはあま

り関係ないかも。


●VSS-30(忘れた、古)キーボード(ミニ)

 デジマートで発見。確か去年手に入れた(←もう忘れかかってる)。

いわゆるポータトーンなのでMIDI端子は無し(最近のはMIDI端子が付い

ているものが多いが昔の超安物モデルにはそんなのなかった)。よって

MIDI非対応。しかも音源部は2オペレータのFM音源ときたもんだ(だっ

てMSX2+のFM音源と同じ音がするんだもん)。じゃなんで手に入

れたかというと、実はサンプリング機能があって、音質は悪いし、機能

も少ないし、MIDI制御が出来ないけどお手軽にサンプリング出来るんで

すよ。これが面白い。サンプリングで遊ぶならこういうお手軽なキーボ

ードがやり易いんです。似たようなものにカシオのSK-1(だったっけ?)

というミニキーボードがあるが、そっちの方が有名だろう(そのぶん手

に入りにくい)。

 こいつの音を68にサンプリングすれば、かなりのローファイ感が出

て面白いかも。


●MU90B(13800、古)GM(XG)音源

 GS音源があるのにXGが無いというのもなぁ、と思ってソフマップ

MIDIランドで購入。型番にBが付くのは正面に液晶パネルが付いていな

いモデルなんですが、これが不便。XGは設定項目が多いので、液晶画

面がないと…。おかげでXGのデータがなかなか作れず。



▲CASIO(カシオ)▼

 電気屋の店頭で売っているカシオトーンのイメージが強いですが、1

980年代からシンセを生産しています。デジタルシンセのCZシリー

ズは当時割と安価でFM音源のように音色製作の楽しめるシンセとして意

外に愛好家が多かったようです。

 近年ではカシオトーンはもちろん、DTM関連でも安価な製品を作っ

ています。

 主な製品・・・CZ5000、カシオトーン


●GZ-5(7000くらい、新)キーボード(ミニ) 

 MIDI打ち込みキーボード。小さいので置き場所に困らないのとMIDI入

力以外にもちょっとしたキーボードとして使える(音源が入っている)

ので、データ製作用に便利。いちいち配線するのも面倒くさいしね。 


●CT-670(知らない、新)キーボード 

 その昔、ピアノを処分してその代わりにと買ってきたキーボード。05

R/Wを買うまではこれを音源として使っていた。今はほとんど使ってい

ない。 


●GZ-70SP(5000、新)GM音源付きスピーカー

 通信カラオケセットSZ70-Wの付属品でスピーカーの中にGM対応音源の

入った変わりもの。スピーカーが大きさの割にとてもいい音がする。音

源の方もスピーカーを意識して作られているのか、とてもマッチしてい

る。とはいっても音源の音そのものはそんなにいい音というわけではな

いんだけど。 



▲E-MU(イーミュー)▼

 最近輸入代理がカメオインタラクティブからエンソニックジャパン

(ここもシンセメーカーとしても有名)にかわった海外のシンセメーカ

ー。アナログシンセもかなり作っていましたが、有名なのはサンプラー

のイミュレーター。散開直前のYMOも使ってました。

 1988年、イミュレーター用のサンプリングライブラリー(音ネタ)

を集めて音源としてまとめたPROTEUSシリーズを発表、その後高品位な

PCM音源モジュールをいくつかリリースしています。

 主な製品・・・イミュレーターシリーズ、PROTEUSシリーズ、VINTAGE KEYS


●PROTEUS/1 plus ORCHESTRAL(15000、古)音源 

 ポップス用のPROTEUS/1という音源に、オーケストラ音源PROTEUS/2の

音色を一部追加したもの。プロの間でとても評判の良かった音源。オー

ケストラの音源でプロテウスはいい、というのも雑誌等で見ていたので、

デジマートで格安なのを見て即購入。PROTEUS/2の音色では、ソロの弦

楽器の音、特にチェロあたりはとても良い音してます。この音はさすが

のMU128以降でも太刀打ちできないですね。ほかにはオーボエとバスク

ラリネットが本物を間違えそうなくらい似てました。MIDI制御の音源と

しては最強でしょう。本当に良いです。さすが元が30万円(PROTEUS/

2の発売時の定価)の音だけある。ただ一部しか入っていないので(な

ぜかフルートとピッコロの音が全くなかったりする)、今度はPROTEUS/

2が欲しい。


 こんな感じで紹介してきましたが、まだまだ沢山のすばらしい音源が

世の中にあります(買い切れないだけで、場所とお金さえあればもっと

買っているかも)。聞いたことがないメーカーでも、買ってみれば、す

ばらしい音がするかもしれないので、秋葉原や日本橋などの電気街でソ

フマップMIDIランドのように中古の音源を沢山置いてあるお店に行った

ら、また違う目で(耳で?)見てみるのも良いと思います。


(EOF)